昨年12月に高知県に新しく開館した〈佐川町立図書館さくと〉の館内マップのイラストを描かせていただきました。
設計は、ハウジング総合コンサルタントさん+森下大右建築設計事務所さん+ishibashi nagara architectsさん、サインデザイン・グラフィックデザインは、UMA/design farm さん。
高知駅から汽車(※)で40分ほど西に進んだ盆地にある佐川町。朝ドラ『らんまん』でお馴染みの日本植物学の父・牧野富太郎の生まれ故郷であり、“文教のまち”として知られるまちです。建替前の図書館は、書庫もないような小さな図書館で、「文教のまちにふさわしい新しい図書館を」と、人口の1/3以上にものぼる町民たちの署名が集まり、そこから10年かけて、今回の新図書館の建設プロジェクトが行われたそうです。
※高知の地元の人たちは、まちなかの路面電車のことを“電車”とよび、そのほかの電車のことは“汽車”とよぶそう。民宿の女将さんが教えてくれました。
せっかくの機会なので牧野富太郎のゆかりの場所をいろいろと巡ってみたのですが、富太郎の観察力や膨大なスケッチの数々に圧倒されつつも、なんといっても、どの写真みても富太郎さん、めちゃめちゃいい笑顔なんですよね。野山を駆け巡り、自分自身の手足を動かして、だいすきな植物のことを生涯学び続けていた富太郎さんの姿に、グッとくるものがありました(ちなみに館内マップに、そんなニコニコ富太郎さんがこっそり登場しています。)。学ぶことは楽しい。そこに、居心地のよい図書館があればなおさらのこと。
開館式の際に完成した図書館を見学させていただいたのですが、図書館のまんなかにある中庭と大黒柱を軸に、それぞれのエリアやスタジオがゆるく繋がっていて、本を探していたら、いつの間にか館内をぐるぐるとまわっていた、そんなひとつの大きなリビングのような空間でした。木造建築のあたたかな木のぬくもりに、ひとつひとつこだわった家具。家の近所にこんな図書館あったらぜったい通うのにな、と思いつつ、そんな思いを10年掛かりで本当に形にした佐川町の姿がとても力強く、希望にあふれているように感じました。
館内マップでは、館内の間取りだけでなく、「さくとでこんな景色がみたい」という図書館のスタッフの方々の思いを、人物イラストで描き込んでいます。町の図書館として歩みをはじめたさくとで、町民の方々が実際にどんな過ごし方をしているのか、またぜひ佐川町にみにいくことができればと思います。
今回の館内マップのイラスト制作のお声がけしてくださったのが、UMA/design farmさんだったのですが、学生時代からずっと憧れ続けていたデザイン事務所で、今回こうしてお仕事ご一緒でき、とてもうれしかったです。イラスト続けててよかった…!
佐川の町の10年越しの思いがつまった図書館にイラストで関わらせていただき、本当にありがとうございました。
▼佐川町立図書館さくと
photo by UMA/design farm 津田祐果さん
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